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スウェーデン料理 -  豊かな歴史、確かな未来

北欧料理が今、国際的なフードメディアの注目を集めています。スウェーデンでは、北欧の国らしい手つかずの美しい自然にひたることも、現代の異国情緒を味わうこともできます。北極圏のはるか北から南端部の豊かな平野まで、1500キロ以上の国土を持つスウェーデンは、多くの気候区を含んでいることから、豊かで多彩な動植物と伝統が息づいています —— もちろん、ほかでは味わえない食べ物も。

gastronomy-faviken-garden Photo Erik Olsson

sweden-pigs Erik Olsson

夏から秋の季節、スウェーデン人は、年代や背景に関わりなく、こぞってキノコやベリー、フルーツを食べまくります。種類は地域ごとに実にさまざまです。圧倒的な種類のおいしいキノコ、500種以上の野生のベリー、それと同じくらい多彩なリンゴ。森や野原にはブルーベリー、ワイルドストロベリー、クラウドベリー、リンゴンベリー、ローワンベリー、エルダーベリーなどが溢れます。ミルクやクリームを添えて生で食べるものもあれば、自家製のマーマレードやジャム、フルーツシロップにして、寒い季節に食卓に出すものもあります。

cloudberries-3066 sara_ingman imagebank.sweden.se

 クラウドベリー

Mushrooms Johan Willner imagebank.sweden.se

 

スウェーデン人はたいてい自宅やカントリーハウスに果樹園や菜園を持っていますし、最近はレストランでもそういうところが増えてきています。主に植えられているのはレッドカラント、ブラックカラント、グースベリー、ガーデンラズベリーで、ほかにルバーブや、リンゴ、洋ナシ、ウメ、サクラなどの木もふつうに見かけます。凝るタイプの人は、いろいろな野菜を育てて自分だけのハーブ園を作っています。

厳しい環境で食料を保存しなければならないことが、スウェーデン料理の発達に一役買っています。乾燥、燻製、塩漬けといった技術を駆使して、食材の賞味期限を延ばしているのです。なかでも、多彩な酢漬けニシンは最もスウェーデンらしい例で、ほとんどは甘酸っぱい味が基本になっています。保存処理をしたサーモンも同様です。グラヴラックスは、以前は塩漬けにして、必要なときまで地中に埋めて保存していました(グラヴとは「お墓」「埋める」という意味です)。今のグラヴラックスは、塩、黒コショウ、砂糖、刻んだディル(香草の一種)に漬け込み、圧力をかけて数時間から数日間「埋めて」作っています。

Herring Miriam Preis imagebank.sweden.se

グラヴラックス

コーヒーは、フィンランドがスウェーデンの一部だった時代にトルコから入ってきました。現在、フィンランドは世界一のコーヒー消費国で、スウェーデンは僅差の2位につけています。スウェーデンでは「フィーカ」がひとつの文化現象となっていて、1日のうちに何度か、家族や同僚、友人と一緒にコーヒーブレークを楽しみます。「フィーカ」はコーヒーや紅茶をすすることですが、カフェブロード(小振りなクッキー、ケーキ、シナモンロールなどのお菓子)やチーズサンドイッチを添えることもあります。伝統的にコンディトリと呼ばれているコーヒーハウスは、都会から小さな村まで必ずあって、すべてはここを中心に回っています。

Cinnamon Buns Tina Stafrén imagebank.sweden.se

Pensionärer i Rosendals trädgård, Djurgården, Stockholm.
「フィーカ」

北欧料理のバイタリティーはさまざまなところに現れています。今は、活気あるレストランシーンと並んで、新しい小規模な食品・飲料企業が、都会ばかりか田舎にも次々と生まれています。ミクロやナノサイズの小さな醸造所、移動式の食肉解体所、リンゴ圧搾機を搭載して生アップルジュースを販売するバス、石窯を備えたベーカリー、手作りチーズの製造所、野菜やハーブの栽培所、ブタやウシを有機で育てる農場……。こうした新しいタイプの手作り製品の多くが、地元シェフとの連携と協力によって作られています。
ソース: The World’s 50 Best Restaurants

 

スウェーデン料理の伝統

世界でトップクラスの近代的な国でありながら、スウェーデン人は伝統をとても大切にしています。しかも、食べ物を中心に祝祭が行われるのです。祝日を定めている国はいくつもありますが、前衛的なスウェーデンにはなんとシナモンパンの日やワッフルの日があって、季節がほぼ丸ごと、ドロっとしたアーモンドペーストやクリームパンに捧げられています。ぜひお試しあれ! 多くの祝祭は光を囲んで行われますが、太陽の下やロウソクの光、あるいは光なしのものもあります。

クレフトフィーヴァ(ザリガニパーティー)
スウェーデンでは、ザリガニはペットではなく、伝統的なおいしい料理と考えられています。需要が高いため、やむなく中国、トルコ、アメリカから輸入していますが、やはりスウェーデン産が最高の味だとして珍重されています。スウェーデン産のザリガニは大人気のごちそうなので、自力で手に入れるには、ザリガニ漁の規制法や寄生カビと戦わなければなりません。それが無理なら —— 魚屋さんにたっぷり料金を払ってあげてください。

Crayfish Party Carolina Romare imagebank.sweden.se

 ザリガニ

Crayfish Party 2  Carolina Romare imagebank.sweden.se

 ザリガニパーティー

いつ:
8月から9月。

どこで:
自宅や夏用のコッテージで。

どんな人が:
友人どうしや家族、職場のパーティーなどで。

地元流は:
ザリガニは夜行性なので夜に捕まえます。花のついたクラウン・ディルと一緒に塩ゆでし、冷たい状態でいただきます。ツチブタになった気分で勢いよく啜ってください。よく熟成したヴェステルボッテンチーズを添えて、ビールやシュナップスと一緒にどうぞ。

シュールストレミング(発酵ニシン)
これほどひどい臭いがして、でも食べておいしい魚はありません。バルト海の小型ニシンは春に漁獲され、塩漬けにしてゆっくり発酵させたのち、缶詰にしてさらに約1ヶ月で、食卓や店舗に並びます。発酵のプロセスは缶の中でも続き、スウェーデン人が「酢洗い」と呼ぶプロセスを経て、缶が膨らむほどの発酵ニシン「シュールストレミング」が出来上がります。臭いは鼻をつくほど強烈で、味は円熟したなかにも明確な酸味があって、食欲をそそります。

Fermented Herring Tina Stafrén imagebank.sweden.se

発酵ニシン

いつ:
8月の終わりが人気で、ノルウェー北部ヘルシングランド地方のアルファでは、特別なシュールストレミング祭りが開かれます。しかし熱狂的な愛好家は、身が柔らかくなるまで前年のヴィンテージものをとっておき、完全に熟した香りを楽しみます。

どこで:
野外に限ります。絶対です。決して室内で缶を開けないでください。

どんな人が:
伝統派のスウェーデン人、食通、冒険好きの旅行者。

地元流は:
缶の圧力が高いので、シュールストレミングは水の中で開けましょう。水洗いし、はらわたを抜いたら、バターをつけたトゥンブロード(平らで甘いパンの一種)でくるみます。スライスしたアーモンドポテトやダイスカットしたオニオンを添えましょう。あとはビールとシュナップス、そして大勢の友だちです。

セムラ(スウェーデン風クリームパン)
単数形でセムラ(semla)、複数形はセムラー(semlor)ですが、パン好きな人は必ず2つ以上食べるので、ぜひ複数形も覚えておきましょう。柔らかい丸パンから、あふれるほどのアーモンド&カルダモンのペーストがしみ出した上に、バニラ味のホイップクリームがたっぷり乗っています。伝統的には四旬節(キリスト教の断食期間)が始まる前日に食べられていましたが、今では国中の愛好者が、クリスマスからイースターまで毎日のように食べています。

Semla Mikko Nikkinen imagebank.sweden.se

セムラ

いつ:
告解の火曜日(四旬節の前日)。スキニージーンズの国スウェーデンでは「脂肪の火曜日」と呼ばれています。

どこ:
考えられる限りすべてのパン屋さんとカフェで。

どんな人が:
これを愛して毎日食べるセムラ大好き派、週末だけ食べる伝統派、「脂肪の火曜日」だけ食べる真の伝統派。

地元流は:
まずはフタになっている部分から。スプーン代わりにしてドロっとした部分をすくっていき、そのまま残りの部分へ食べ進みましょう。野性派は手づかみでかぶりつき、都会派はフォークを使い、ボヘミアンはスプーンで、旅行者は戸惑いながら。伝統派は暖めたミルクも一緒に注文します。どの食べ方でもグッド!

Hembakade minisemlor en god norrlŠndsk tradition.

 

おすすめのスウェーデン料理レストラン

ミシュラン2つ星レストラン
2つ星の洗練されたレストランとしては、シェフの名を冠し、伝統的な格式高い雰囲気で行き届いたサービスが受けられるマティアス・ダールグレン-マットサーレンと、今や世界のレストラン・ベスト12位に選ばれ、くだけた雰囲気ながらサービスは決して見劣りしないフランツェンがあります。
ミシュラン1つ星レストラン
スタイリッシュで洗練された食事ならレストランF12が一番、革新的でロマンチックな料理ならエスペラントへどうぞ。ラックス・ストックホルムでは、料理の最後の仕上げがテーブルで行われることも珍しくありません。ほかにもガストロロジックエクステッドがリスト入りしています。

 

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Mathias Dahlgren. Photo Erik Olsson
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レストラン・アイータ
ラップランド地方ヨクモックにあるレストラン・アイータは、北極圏スカンディナヴィアでも珍しいサーミ料理のレストランです。サーミの人たちは、今も燻製や塩漬けといった伝統的な方法で肉、魚を保存しています。食材は、腹を空かせた動物に食べられないように高床式の木造貯蔵庫に入れておきます。

トナカイの肉や魚は、燻製、乾燥、塩漬けにすることが多く、サーミ料理の基本食材となっています。ベリー類、野鳥、ヘラジカなどは近くの山や森から獲ってきます。サーミ料理で使う肉類はたいへん香りがよいので、ほとんどスパイスを加える必要がありません。サーミ料理は食材の持つ自然の風味を大切にしています。

 

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公式サイト www.ajtte.com

Svenskt Fjäll- och Samemuseum
Kyrkogatan 3, Jokkmokk, Sweden
電話 +46 (0)971-170 70.

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