サーミと呼ばれるトナカイ遊牧民の人々が、北欧スカンジナビア半島の最北部、北緯66度33分の北極線より北の北極圏中心に分布しています。現在サーミは、ノルウェー、スウェーデン、フィンランドの北欧三国とロシアの四ケ国に居住しています。サーミは自分たちの住む地域をSapmi(サプミ)と呼んできました。その一部がスウェーデンの美しい自然の大地Lapland(ラップ・ランド)です。サーミの話す言語は、ヨーロッパ人の中心言語インド・ヨーロッパ語族と異なったウラル語族に属します。
サーミは、大きな角のあるトナカイとともに季節ごとに移動しながら、極寒の自然を生き抜いてきました。厚い毛皮をまとったトナカイは極北の寒冷気候にも耐える動物です。人間もその毛をまとい、テントの中にも敷いて暮らしてきました。
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フィヨルドの崖湾の入りくんだスカンジナビア半島の海岸は漁業資源豊かな海です。内陸の河川や湖沼にもサケやマスも豊富です。陸地には、さまざまなイチゴ類果漿類やキノコが実ります。極北の自然の恵みを糧にかれらは生活してきました。
サーミは「太陽と風の子」と呼ばれます。極北の自然を美しく染めあげる太陽と、そこに吹きすさぶ風の恵みを父とし母として生きている民族です。
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トナカイ遊牧は、サーミのアイデンティティを形成してきました。しかし、現在トナカイ牧畜に従事するサーミは全人口の⒑%未満です。北欧の多様化社会とおしよせる近代化の波をまえに、サーミも様々な職業に進出していったからです。トナカイ遊牧も、現在では、GPSやヘリコプターなどの現代技術を活用した産業ビジネスへと進化しています。
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